石原光世のサイト’ぱんだぴあの’いしはら流ピアノレッスン
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レッスン

いしはら流ピアノレッスンの紹介です

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*いしはら流ピアノレッスンのすすめ

《はじめに》
石原光世写真

本題に入る前に、なぜ私がこんなページを作ろうと思ったかをお話ししなくてはならないでしょう。 そもそも私の指導している「ひやくジョイントかんぱにぃ」は、"障がいのある人のためのピアノ教室"ではなく" どこにでもある普通のピアノ教室"なのです。ただ、障がいのある人が、ちょっと多いだけ。 主に知的障がいですが、色々な人がいます。私にとっては、障がいのあるなしに関わらず、一人一人がそれぞれ個性を持った一人の"生徒"なので、 よく「障がいのある人を何人くらい教えていますか?」という質問を受けるのですが、それすらわからない(トータルの人数もわからない)、というのが実情です。

いままで、レッスンの仕方をあえて公表する必要もない、と思っていたのですが、次々やって来る新しい生徒が、 ピアノを習いたいと先生宅の門をたたいても断られてきている現状を見るにつけ、何かヒントになればと思い、このページを作ることにしました。 ここに挙げるのは、あくまで一例ですので、子育て本と同じように、必ずしもこの通りになる、ならねばならない、 というようなものではありませんので、気楽に読んでください。

一応、知的障がいを持っている人のために私が実践している方法を書いていますが、そうでない場合でも応用は利くと思います。では、はじまりはじまり〜。

☆天才少女あらわる?!

昌美ちゃん(女子)は、私が大学3回生の時、初めて教えた生徒である。 当時小学3年生。軽い情緒障がいがあった。 初めてお母さんと一緒にやってきた時、笑うこともなく、口数も少なかった。 彼女は黙々とピアノを(かなりムチャクチャに)弾きまくるだけで、私が何か言おうとしても反応もなく、 手を持って間違っている音を直そうとすると嫌がるで、とても「教えている」状況からは遠かった。 しばらくの間、そんな彼女を毎週30分間好きにさせておく、という日々が続いた。

しかし、その変化は、ある日劇的にやってきた。 小さい発表会に出たのがきっかけだったと思うが、私が「先生」である、という認識が、彼女の中に芽生えたのである。 それからは、私の言うことを聞いてくれるようになった。彼女は天才的な絶対音感があり、ほとんどの曲を口(くち)三味線で覚えた。 18歳で、就職を機に「卒業」したのだが、やめる前にはモーツァルトの「トルコ行進曲」や「ソナタ」を弾いていた。 だが、楽譜は読めなかった。…というより、たぶん耳で聴くほうが早いので読まなかっただけだと思う。

パンダがピアノをひくイラスト

彼女の場合、私がドレミで歌う曲をほぼ1回でそのままピアノで再現できたので、あとは指使いを直す、などという作業ですんだ。 ただし、この方法は、指導する側に絶対的なソルフェージュ能力が必要だ。ちょっとでも音程をはずして歌うと、隣の音で覚えてしまう。(これは、やられた!と思った。) まず左手を弾きながら右手のメロディーを歌う。 右手がだいたい弾けるようになったら、左手を歌って少しずつ渡していく。(難度の高い曲になってくると「♪チャンチャンチャ〜ン」みたいな事もあった。)

そして、指使いなどを直すのだが、障がいのある子どもの場合、後から「もう1回弾きましょうね。」は、ほとんどの場合通用しない。 演奏は1回限りである。1回目を弾く時に、気づいた事は全部言ってしまう。その時、その場で直らなければ、1週間そのままで待つしかない。 だからと言って、無理やりその場で直す必要もない。
 1週間後、びっくりするくらい簡単に直ることもある。(その逆もある。)