石原光世のサイト’ぱんだぴあの’いしはら流ピアノレッスン
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レッスン

いしはら流ピアノレッスンの紹介です

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*いしはら流ピアノレッスンのすすめ

次にお送りするのは、ピアノの先生向けアドバイスです。

☆テキストについて

楽譜が読める、読めないにかかわらず、私はテキストは持ってきてもらうようにしている。
「ピアノを習っている」という自覚を持ってもらうためである。 使っているテキストは学校の教科書(笑)、童謡の本。楽譜が読める人にはバイエル教則本なども使っている。 自閉症の子どもは割とカードが好きなことが多いので、音符カードなどを使うこともある。
ただ、これが身につくかどうかは、家でのサポート体制(練習)にかかってくる。

☆レッスンのプログラム

知的障がいを持つ人は、とかく「習慣」にこだわりがちである。 だから、新しい場所、新しい人にはすぐ馴染めない。(それは私も同じなので、気持ちは大変よくわかる。)
しかし一度「習慣」になってしまうと、驚くほどぐんぐん成長する。

これは人によって違うのだが、例えばレッスンする曲の曲順。「こだわり」が強い子は、曲順を変えるとパニックになり、えらい事になる。 曲順はテキストの順番でなくてもよいのだが、毎回ほぼ同じ順番でいくのをお勧めする。 親御さんに確認して、時々順番を入れ替えてもいい場合は「今日はちょっと違う順番でいくね〜」と本人に告げてから順番を変える。

新しい曲を入れる時も同じである。知的障がいのある人の場合、ほとんど黙っていることが多いので、こちらはそれで了解ずみと思いきや、順番が違うことが本人の中でとんでもないストレスになっていることがある。 私のかんぱにぃでは、約10年同じプログラムでレッスンしている子もいる。

教える側は新しい技術を教え込もうとか、次のステップに進もうとか、思わなくていい。
その日その30分間を、一緒に楽しく過ごすだけで充分だと思う。その積み重ねから、何かが生まれてくるはずだ。

☆あいさつ

ピアノのレッスン自体はどうであれ、"いしはら"先生のレッスンでは、あいさつは絶対必修である。
始める時は「お願いします。」終わったら「ありがとうございました。」言えない子は、発表会の時のように、どこかに客席を設けて、そちらに向かって一礼する。
「あいさつ」は社会生活にそのままつながっているからだ。 養護学校でも、あいさつだけはきちんとできるよう指導するそうである。

☆家での練習

家でピアノを練習するかどうか。私は「どっちでもいいです。」と言っている。 一応、家にキーボードなど何がしかの鍵盤楽器があることは条件である。 習い始めの頃は慣れるために家でも少し鍵盤をさわってもらうようにはしている。
しかし、彼らは弾く曲がずーっと一緒なので、一度習慣づいてしまうと、逆に「倦怠期」がおとずれてしまう。 ある程度のレパートリーが出来たら、あとはピアノのレッスンに来た時だけでいいと思っている。(ただし、発表会の前は練習してもらう。 それはお辞儀も含めて「発表」のための練習である。)

☆ドレミ唱法について

私はとりあえず、固定ド唱法にしている。 シャープ、フラットなども理論的な説明は一切せずに鍵盤を指しながら「ファ シャープ」などと言うと、だいたいそれでわかってくれる。 慣れてきたら「シャープ」と言うだけでその音を弾けるようになる。

☆ピアノ発表会のすすめ

発表会は重要なポイントである。わが「ひやくジョイントかんぱにぃ」では、発表会は春と秋の2回ある。
春は一人ずつがピアノを発表し、オリジナルミュージカルを上演し(?)、その年流行している曲を合奏する、というスタイルである。 秋は少し小ぶりで、ピアノ連弾と合奏、という形になっている。

どんな子どもにとっても(大人にとっても)、人前で何かを発表するというのは、大変晴れがましいことである。 緊張もするかもしれないが、1回舞台を経験すると、それが自信につながる。 私と会話が出来なかった子が、発表会を機にしゃべれるようになった例は数多く見ている。 私はなるべく発表会には参加するように勧めている。

次のページで、参考までに「ひやくジョイントこんさあーと」のプログラムについて触れてみます。